「頭の良さ」とは、原因と結果の連鎖(縁起の理)を見破る力のこと
前回の記事では、知性には「識(しき)」と「般若(はんにゃ)」の2種類があり、簡単にまとめると、
- 識…分析的知性、合理的知性
- 般若…統合的知性、神秘的知性
ということでした。
そして、仏教書などでは「般若」が強調されるものの、実際は、般若の智慧の足腰部分として、「識」が大事ですよ、ということを申し上げました。
「識」というのが現実世界でどのように現れるかというと、超訳的に言えば、「頭が良い人」と言われることが多いですね。
それでは、どうやったら「頭が良くなるのか?」という話になります。
これは、般若の知にも通じている話でもありますが、
結局のところ、「頭の良さ」とは、「原因と結果の連鎖を見破る力」ということになるかと思います。
これは仏法的に言えば、「縁起の理」のことですね。
この「原因と結果の連載」を実相世界(霊的世界)まで含めて見破ることができれば、「般若の智慧」に近づいていくわけですが、
現実世界に限った話でいけば、いわゆる一般的な「頭の良さ」になってくるわけです。
それでは、どうしたら、原因と結果の連鎖を見破ることができるようになるのか?
いくつか、思いつく限りの訓練法を挙げてみますと、
PDCAサイクルを検証する
PDCAサイクルは有名なビジネス用語ですが、
PLAN(計画)→DO(行動)→CHECK(評価)→ACT(改善)
ということですね。
これはビジネスに限らず、日常生活においても有効です。
ポイントは、
- DO(行動)=こうしたら
- CHECK(評価)=こうなった
のところにあります。
自分自身の行動とその結果の検証です。
ほとんどの人は、ある行動をとって、ある結果が出ても、その因果関係を検証していないんです。
その因果関係を深く検証していくことによって、原因と結果の法則(縁起の理)が腑に落ちてくることになります。
他人に学ぶ
上記のPDCAサイクルが、自分自身のことだとすれば、今回のケースでは、他人のDO(行動)→CGECK(結果・評価)を検証していく、ということになります。
自分は自分ひとりの人生を生きることしか出来ませんが、他人から学ぶ、という姿勢であれば、さらに学びが加速しますね。
この「他人に学ぶ」ということについては、文学作品などから学ぶ、ということも含まれると思います。
歴史に学ぶ
スピリチュアル(仏法)を除いて、あえてもうひとつ学ぶべき一種類の書物を挙げるとすれば、歴史書になるかと思います。
歴史は、原因と結果の宝庫ですからね。
ただ、歴史書と言っても、おカタイ教科書的なものではなくて、歴史小説のほうが良いと思います。
あるいは、「歴史館」「史観」が入っている書物(論書)ですね。
教科書的なものでは、単なる知識の羅列になってしまいますので、やはり、その著者独自の見解(原因と結果の法則)が入っているもののほうが学びになると思います。
歴史を学んでいると、現代の諸問題についても、相当に洞察が深まります。
まとめ
そういうわけで、今回のお話は、
知性には、宗教的知性(般若の智慧)と合理的知性(識)があって、仏教書などでは「般若の智慧」が強調されるけれど、「識」も足腰として大事であること
「識」はいわゆる、「頭の良さ」として言われるが、「頭が良い」とは原因と結果の連鎖を見破る力、すなわち、縁起の理を腑に落としていくことであること
原因と結果の法則を学ぶには、
- 自分自身のPDCAを検証すること
- 他人のPDCAを検証すること(文学作品など含む)
- 歴史に学ぶこと
ということになります。