諸葛孔明といえば、三国志の天才軍師として有名ですね。
智謀湧き出ずる如し、ということで、『三国志演義』をベースにした吉川英治『三国志』。
さらにそれをベースにした横山光輝の漫画『三国志』でワクワクと読まれた方も多いのではないかと(吉川三国志を読みはじめてしまったがゆえに、中学校の中間テストを棒に振ったのが私です)。
子どもの頃、NHKの「人形劇三国志」を見ていたのですが、番組終わりになると、曹操らライバルたちが、「またもや孔明かあ〜!!」と地団駄踏んでいたのが懐かしく思い出されます。笑
そんなイメージの孔明なので、さぞかし詭計が多かろうと(実際、上記のメディアではそこが強調されてるんですが)思われるかもしれませんが。
注意深く、三国志を読んでみると、孔明が一番重視していたのは、「負けない戦い」であるということがわかります。
負けないこと、現実的であること、法則に適っていること、を徹底的に重視しています。
孔明の基本戦略では、「天下三分の計」が有名です。
劉備玄徳が孔明に出会ったばかりの頃は、まだ蜀の国は他人の土地で、劉備は国どころか、今で言えば、小さな市長程度の位置を占めてるに過ぎなかったわけです。
孔明は劉備に言うわけですね。
「魏はすでに強大であるし、呉は安定してるので、いきなり天下統一はムリです。東に蜀を建国し、西の呉と結んで、北の魏に対抗するしかありません。これが天下三分の計です」
と。
下の地図を見てみれば、これがいかに現実的な策であるか、わかりますよね。蜀は呉と同盟してはじめて魏に対抗できるのだ、と。
*魏:曹操、蜀:劉備、孔明、呉:孫権
これ、今のネットビジネスで言えば、「月収200万はまあ最終目標として、とりあえずは、副業で月収5万を狙いましょうよ」といった現実感であるかもしれません(?)。
きわめて冷静で、現実的な情報分析が基礎になっているわけです。
ひるがえって、昨今の世界情勢をみるに。
何度も申し上げていますが、日本の目と鼻の先に無頼漢国家がふたつもある。核兵器も持っている。実際に威嚇してくる。
という状況下で、さらに米国が孤立主義を選びそうな状況にあります。
つまり、日本は日本でご自分を守ってくださいよ、と。
この局面で現行憲法護持・絶対平和主義を維持する方向を選ぶのであれば、かなり怖い筋書きに進む可能性があるでしょう。
日米同盟維持が続いたとしても、まだ「負けない戦い」になっているかどうか。
みなさんならどういう手を打ちますかね?
これもやっぱり地図で見てみましょう。
安倍外交と、それから、中国の南沙諸島軍事要塞化に対する危機感により、東南アジアは全般的に親日である状態です。
安倍首相は、東南アジアからぐるっと南回りで、中東の方まで精力的に歴訪していたわけですが、やはりここにはひとつの狙いがあると思われます。
それは、一言でいえば「中国包囲網の構築」ですね。
そして、ウクライナ問題などで、西側諸国と対立しているロシアに対しても、ソチ五輪の開会式に出席(2014年)するなど、「北側からの包囲」にも気を配っているのが伺えました。
私は、財政政策・消費税増税の問題などで安倍首相を批判することもありますが、基本的に、支持してきたのは、
安倍首相の外交能力に期待してのことでありました。
いま日本にとって最も火急なのは、経済よりも、実際は、軍事・外交問題。
つまり、北朝鮮と中国の脅威にどう対処していくか、ということであるからです。
そういう意味では、先般の伊勢志摩サミット(5/26、27)に先立って、日露会談を実現させたことは大きな前進と
取れるのですが、やや残念というか、不十分な成果に終わったとも取れます。
なんというか、「ついでに寄りました」感がアリアリで、プーチンさんも会談に1時間遅刻してきましたからね。
マスメディア(ネット配信含む)を見ていると、「日露会談はすべきでなかった」「アメリカ、西側諸国に配慮すべきだった」との意見が目立ちましたが、私はそう思いません。
すでに無力化したEUや、さんざんと弱腰外交を重ねて世界の紛争を増やしてきたオバマなどに気を使う必要はないと思います。
むしろ、伊勢志摩サミットなどのG7の会合など、今やほとんどセレモニーの域を出ていないわけであって、そういうことに力を注ぐくらいなら、むしろ対ロシアにもっともっとラブコールするぐらいの方がちょうど良いと思っています。
そして、地図をご覧いただければお分かりだと思いますが、中国・北朝鮮を背後から牽制していく。
これ、オセロと一緒なんですよ。
日本ー東南アジアーインドーロシアで、対中国・北朝鮮をぐるっと取り囲むことによって、牽制は完璧なものになります。
ロシアは中国以上の核保有国ですしね。
逆に言えば、一番、警戒しなければいけないのは、決して、中露同盟を結ばせてはならないことです。
と、このように、
米国の孤立主義が進み、日米同盟の弱体化が懸念される中で、日本が「決して負けない戦い」をするための最優先事項は、日露平和条約を結ぶこと。
さらに、日露同盟へ発展させていくこと、だと思います。
これができないようであれば、日本も核装備を持った方が良い。
綺麗事を抜きにして、そうしないと日本国民の生命・財産・安全の保証ができないからです。
しかし、あくまでも核装備に抵抗があるならば、日露平和条約から日露安全保障条約(日露同盟)まで締結し、
対中国・北朝鮮包囲網を築くことだと思います。
ウクライナ問題などで遠慮しないで、日本は主権国家として日本独自の判断をすべきです。
これは、評論家の日下公人(くさかきみんど)さんの言葉をお借りすれば、「優位戦外交」ですね。
そろそろ、米国追随の外交(それが外交と言えるのかどうか)から脱却して、優位戦外交を展開すべきです。
そうであってこそ、米国にもゆさぶりをかけ、日米同盟の価値を再認識させることにもつながるでしょう。
「日露同盟成ればこそ」というのは、明治維新で言えば、薩長同盟のようなもので、まだあまり声高に言われていませんが、日本と東アジア、ひいては世界の安定のための要(かなめ)になるだろうと確信しています。
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