霊格の段階(英語で言えば、”Spiritual stage”)については、色々なスピリチュアルサイトで語られておりますが、キチンと整理された形で出ているものがあまり見当たりませんので、今回はそのテーマで書いていきます。
また、「実際に、霊格を引き上げていく方法」についても出来るだけ具体的に語ってみたいと思います。
霊格と人格は違うのか?
霊格の段階について語るために、まず、「霊格とはそもそも何か?」というところから始めてみます。
”霊格”というと、とても宗教的・スピリチュアル的な響きがありまして、一般的に言う”人格”とはどこか違っているような印象がありますね。
突き詰めていくと、霊格と人格はほぼニアリーイコールであると私は思っていますが、あえて、違いを説明すると次のようになるかもしれません。
”人格”については、この世(現象界)における社会的な適性という枠組みのなかで「どういった品性を保っているか」というところに重点があると思われます。
一方、”霊格”というと、この世を離れた世界、いわゆる”あの世”ですね、ネオ仏法では”実在界”あるいは”叡智界”と呼んでいますが、そうした「本来の世界観、神仏の価値観から観た人間の格」という文脈で理解すればよろしいのではないかと思います。
そして、この世(現象界)が仮生であり、あの世(実在界)が私たちの本来の世界であるならば、結局のところ、「霊格こそが、その人の価値を測る本来の尺度である」と言えるでしょう。
あるいは、”人格”というものも、突き詰めて言えば”霊格”に収斂される、という理解の仕方もありえそうです。
*参考記事:霊格と人格は違う!? – 地獄への道は善意で舗装されている
私たちの本質は肉体ではなく、いわゆる”魂(たましい)”ですね、「魂こそがあなた自身である」ということができます。
このように考えると、
魂の探求のない生活は、人間にとって生きがいのないものである。(ソクラテス)
というソクラテスの言葉が真に迫ってきます。
つまり、「霊格の段階」というのは結局、「魂のレベルの違い」と言い換えても良いでしょう。
霊格の段階論
霊格の段階については、色々な分類法があります。
魂の階層を9段階に分けたり、7段階に分けたり、宗教やスピリチュアルによって、いろいろなパターンがあります。
ただ、分類はあくまで便宜的なものですので、ある意味、「人の数だけ階層がある」とも言えますし、逆に、「天国と地獄だけ」という二分法もあながち間違いではありません。
本稿では、神智学による分類と仏教の十界論をご紹介し、かつ、それらの対応関係も考察してまいります。
魂の境涯については他に、空海の「十住心論(じゅうじゅうしんろん)」も有名です。これはまた別の機会に考察してみます。
ちなみに、十住心論を分かりやすく要約したのが『秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)』(空海著)です。翻訳と解説本が出ていますので、興味のある方は一読をお勧めいたします。
神智学による分類
まず、有名なものとしては、ブラヴァツキー夫人が創始した「神智学」ですね、神智学では、人間の”からだ”を波長・波動に応じて8段階に区分しています。
そして、自らの”意識”ポイントがどこにあるか?で、来世赴く世界が決まる、という考え方をします。
*ただし、ブラヴァツキー夫人の定義自体に変遷があり、かつ、「神智学系統」の諸団体により考え方、捉え方が違いますので、下記に挙げる分類はひとつの類型だと理解してください。私(高田)の再解釈も含まれています。
- 肉体
- エーテル体:生命エネルギー
- アストラル体:感情エネルギー
– 低位アストラル体:肉体的自我意識
– 高位アストラル体:精神的自我意識 - メンタル体:知的エネルギー(分析的知性)
- コーザル体:知的エネルギー(総合的知性)
- ブッディ体:キリスト意識、仏陀意識
- アートマ体:惑星意識
- モナド体:宇宙意識(ワンネス)
この8段階です。低位アストラル体と高位アストラル体を分けて分類すると、魂の階層は9段階というふうにも捉えることができるでしょう。
そして、大まかな”世界”としては、
- 幽界:肉体〜低位アストラル体
- 霊界:高位アストラル体〜コーザル体
- 神界:ブッディ体〜モナド体
と3種類に区分します。
人間の”からだ”というものを上記のように8分類して、自己意識(目覚めの度合い)がどこにあるか?どのような波動を発しているか?によって、来世赴く世界が決まる、という考え方です。
たとえば、低位アストラル体の段階では、まだ肉体的自我意識に囚われたままの状態ですので、いわゆる”幽霊”ですね、自縛霊・浮遊霊、地獄霊(悪霊)、そうした存在のあり方になります。
高位アストラル体から、宗教で言うところの”天国部分”に入っていくことになります。
また、人間の生きる目的について、「輪廻を繰り返しながら、次第に高度な段階に至る」という「霊性進化論」を唱えているのも神智学の特徴です。
インド哲学の円環的な輪廻観と、西洋の直線的な進化論を総合させた「らせん型霊的進化論」とでも言うべき考え方です。
ちなみに、神智学協会を離脱して「人智学」を創始したルドルフ・シュタイナーは下記の分類を行っています。
- 肉体
- エーテル体
- アストラル体
- 自我
- 霊我
- 生命霊
- 霊人
シュタイナーは、地球を3次元の場と設定しました。
霊格の段階に次元構造を持ち込んだのはシュタイナーが最初であるかも知れません。
魂の進化に従って、4次元・5次元・6次元…と次元を上げていく、というステージを想定しているスピリチュアリズムや新宗教もありますね。
このように、神智学、人智学の世界構造論は、その後のスピリチュアリズムやアメリカの”ニューエイジ運動”、日本の新宗教にまで大きな影響を与えています。
仏教の十界論
中国南北朝〜髄の時代の高僧である天台智顗(てんだいちぎ)大師が整理した”世界”の分類法です。
- 地獄界(じごくかい)
- 餓鬼界(がきかい)
- 畜生界(ちくしょうかい)
- 修羅界(しゅらかい)
- 人界(にんかい)
- 天界(てんかい)
- 声聞界(しょうもんかい)
- 縁覚界(えんがくかい)
- 菩薩界(ぼさつかい)
- 仏界(ぶっかい)
地獄界〜天界までの6つの世界を六道(ろくどう)と言います。これは初期仏教からあった分類法です。
この六道に、声聞・縁覚・菩薩・仏の4世界を足して十界とします。
ポイントは、十界が「来世赴く世界」もしくは「出身の霊界」というだけではなく、「今、この瞬間の心境」をも表しているというところにあります。
たとえば、菩薩界出身の魂であっても、ときによれば、「地獄界」の思いを出してしまうこともあるでしょう。逆も真なりです。
このように十通りの世界出身の魂が十通りの心境になることがありますので、世界は10×10=100通りですね、合計百界あることになります。
この思想を、「十界互具説(じっかいごぐせつ)」と言います。
ネオ仏法では、現世の心境および来世赴く世界として、この十界論をおもに採用しています。
*こちらの十界論についても、ネオ仏法的な再解釈を施しています
十界論については、下記の記事で詳述していますので、参考になさってください。
*参考記事:十界と十界互具 ー 仏教における”世界”の階層構造論
魂の年齢と霊格は本当か?
魂の年齢(年代)を5段階に分ける考え方もあるようです。
具体的には、魂年齢を、
- 乳児期
- 幼児期
- 若年期
- 成人期
- 老年期
に分けます。
老年期より上に、「超越期」と「無限期」を追加するケースもあるようです。
これもなかなか面白い分類法ではあると思います。
全宇宙の魂というのは、いっせいに誕生したわけではなく、起源が古い魂から、まだ誕生したての魂まで、いろいろな段階があります。
神道でいう「分け御魂」のように、起源の古い偉大な魂から「エネルギー分化」して新しい魂が誕生することもあると思います。
ただ、この分類で問題なのは、魂の進化が一直線に進んでいくかのようなイメージを与えてしまうことですかね。
実際に、この分類を採用しているサイトを拝見すると、「魂は後戻りはしない」という趣旨のことが書かれていました。
しかし、堕天使の例でわかるように、実際は起源が古い魂であっても、何かをきっかけに退化をしていく例もあります。
多くの魂も、超長期視点で見れば、進化の途上にあると言えますが、現実には、進化したりまた後戻りしたり…を繰り返している例が多いでしょう。
もっとも、そうしたこともみな魂の経験になり、のちのち生きてくることにはなります。
霊格を上げるための公式
霊格向上の原理については、上記の参考記事、あるいは下記の参考記事のなかで述べていますが、大事なところなので、ここでも書いておきます。
*参考記事:人生の意味とミッションとは? – 最勝の成功理論を明かします
結局、人間の本質は肉体ではなく、霊的なエネルギーなのです。ネオ仏法では「実存エネルギー」と呼んでいます。
実存エネルギーはその心境に応じて一定の”波動”を発しています。”波長”とか”周波数”と考えても良いです。
肉体の死後も、実存エネルギーは存続します。一言でいえば、「死んでも死んでいない」あるいは「あの世はある」ということです。
あの世では、波動の性質の似通った者同士がお互いに引き合い、特定の世界を作っています。
これが大まかに分類すれば、「天国と地獄」であり、細かく分類すれば、上述したような神智学の分類や十界論になるわけですね。
なので、霊格向上の原理としては、たった一つ、「自らの波動を上げていく」しか方法はありません。波動の質と量を神仏、天使・菩薩といった存在に近づけていくことこそ、霊格の向上そのものなのです。
一言でいえば、「自らを神仏に似るようにしていく」ということです。
波動を構成している要素は大きく言えば、「智慧と慈悲の総量」です。
この世における仕事量も、
仕事量=智慧×慈悲
のかんたんな式で表すことができます。
この「智慧と慈悲」は同時に、「人生の意味とミッション」そのものでもあります。
- 人生の意味:智慧の獲得
- 人生のミッション:慈悲の発揮
ということです。
肉体を持っていると、違う波動の魂でも出会うことができます。そうすると、波動が一致する者同士が一緒に暮らしている霊界では得られなかった新たな知見・経験を地上世界では得ることができるのですね。
これが、地上世界(物質界/現象界)が創造された理由です。
このように考えていくと、「真実の成功論は霊格を上げていくことのみ」であることが分かります。
この世の成功は全て過ぎ去っていきますが、霊格は現象界(地上世界)と実在界(霊界)を通して存続するからです。
今回の人生での「智慧の獲得と慈悲の発揮」次第では、広い意味での菩薩界(神智学では「コーザル界」に相当すると思われます)に還ることも可能です。
菩薩界は西洋的に「天使界」と言っても良いです。
つまり、”菩薩”や”天使”というのは、私たちとは異質な存在というのではなくて、私たちが霊的向上の目標にすべき存在である、ということですね。
当サイト、ネオ仏法ではそのための中核的な思想をお伝えしています。メルマガでも無料講座をご提供しています。
ひとりでも多くの方が新しく菩薩(天使)候補生になっていくことを願っています。
コメント
コメント一覧 (2件)
>山本裕美子様
コメントありがとうございます!
腑に落としていただけて嬉しいです。
そうですね、結局、地上生活においての周りの評価ではなくて、
霊的次元において、智慧×慈悲の総量は神仏によって、過つことなく計量されている、ということになります。
その真実こそがあらゆる道徳律の基礎になりますし、また、私たち一人ひとりの霊性進化への道になるのです。
智慧と慈悲の総量、すごく腑に落ちました。
いつも何に向き合っても、だれも見ていなくても、だれからも評価されなくても
そこに智慧はあるのか、
そこに慈悲はあるのか
そこを大切にしていくことが今生きてくうえですごく大事なことなんだとわかりました。