僕らはマーケティングに取り囲まれているー金融・財政政策編①

前回の財務省編にも絡むトピックスになります。

アベノミクスは「3本の矢」ということで登場しました。

第一の矢:大胆な金融政策

第二の矢:機動的な財政出動

第三の矢:民間投資を喚起する成長戦略

これを目にした時、僕は、「完璧だなー」と思いました。

けれど。

たしかに、民主党政権時代よりはだいぶ良くなっていますが、
一番大事な「国民所得」という観点から見ると、
実質所得は、下がりっぱなし、ということで、
「格差社会」もずいぶん話題になるようになりました。

*実質所得
名目の賃金が上がっても、食料品などの生活費が上がれば
可処分所得は減るので、実質の賃金は下がってるのと同じだろーという
考え方。

また、当初のインフレターゲット
(=物価上昇目標・デフレ退治のために設けられた手法)
2%もなかなか達成できない状況です。

***

まず、第一の矢。
これはいいと思います。

「金融緩和でジャブジャブお金が出回ったけど、
株価が上がっただけ。株を持っているような富裕層
と大企業の資金調達がラクになっただけ」
という批判はありますが。

そもそも、株価が上がること自体はぜんぜん悪いことではありません。

たとえば、株価×発行株式数=時価総額=会社の価値、
ということになりますが、会社の価値が上がること自体は
”良いこと”ですね

なんとなれば、会社の価値が上がれば、信用も高まり、
資金調達も容易になり、経営が安定する。
そうすれば、そこに勤めている従業員もより安泰になり、
かつ下請け会社などにも波及効果があるからです。

「実体経済と株価が一致していない」という批判もあるかと思いますが、
株価収益率から見ると、特にバブっているわけではない。

仮にバブっていたとしても、実体経済の方を株価に近づけるように
誘導するのが本来の資本主義的政策です

ココで思い出すのが、いわゆる90年代初頭の「バブル潰し」です。

このときも、不動産が投機の対象になっていて、実勢価格から乖離している
のはけしからん!ということで、当時の通産省から、「不動産取引の
総量規制」という通達がでて、一気にバブルは崩壊しました。

が。

この規制はよかったのか?という反省がいまだ十分に済んでいない気がします。

つまり、この場合も、不動産価格が上昇すること自体は悪じゃないんですよ。
だって、地価が上がること自体は資産が増えたってことなんだから

そうではなく、実体経済と不動産価格が釣り合っていないことが問題

 実体経済<不動産価格

という図式ですね。

で、< のマークを = マークに変えるために、
官僚は不動産価格を潰す方策を選んだわけです。

その結果、狙い通り、見事に不動産価格は暴落。

ところが、実体経済もダメになってしまいました
そして、”失われた20年”に突入していったわけです

もう一度、式を見ると、

 実体経済<不動産価格

ですね。

ココでは、実体経済を底上げして、不動産価格に近づけていくような
政策が本来の資本主義的政策なんです。
不動産価格を潰すのではなく

たとえば、
日本の建築法はかなーり規制がかかっていますよね。

日照権やらなんやらで、
ココの土地では2階までしか建てちゃいけない!とか。

でもこれって先進国としてはヘンな話で。

よく言われているように、東京をグーグルアース的に見てみると、
すごーく勿体無い土地の使い方をしているわけです。

もったいないオバケ。

それなら、建築基準法を緩和したほうが良かった。

たとえば、下記の状態だったとします。

 ・実体経済<不動産価格

 ・100万円<200万円

これを、「2倍も違うんだからおかしい!
土地の価格を何としても下げねば!」というのが
当時のバブル潰し政策です。

でも。

たとえば、建築法を改正して、土地の有効利用を2倍にしたらどうでしょう?

この例で言えば、2階建を4階建まで建てられるようにすれば、
同じ土地面積に対し、有効利用率は2倍になりますよね?
プラス2階分使えるようになったんだから

ゆえに、これは実勢価格(実体経済)のほうを不動産価格に近づける
政策ということになるます。

こういうやり方で、

 実体経済=不動産価格

の等号に持っていくのが資本主義的政策です。

地価が2倍に上るということは、資産価値が2倍にあがるということであり、
これ自体が悪いわけではない。

これを悪いと判断している発想こそが問題なんです。

この発想の根底にある価値観は、「金持ちはけしからん!ずるい!だから潰してしまおう」
という発想で、これはまさしく共産主義・マルクス経済的発想なんですよ

ここ最近はやりの、トマ・ピケティの『21世紀の資本』にも、
”新装版マルクス主義”とでも言うべき匂いを感じます。
*ちなみに僕は読んでいません。内容の概略を雑誌などで掴んだだけですが。

この本を読まなきゃ知識人じゃない!って風潮がありますが、
これって、60年代の、「マルクス経済学を支持しなきゃ知識人じゃない」
って図式に似てると思いますね。

***

そういうわけで、金融緩和により、市中にお金を出回らせる。
そして、「期待インフレ」によって、実際に物価を上昇させる
というのはわるい政策ではないと思います。

期待インフレっていうのは、たとえば、

「どうやら政府はインフレ政策をやるらしい。
インフレってのは物価が今年よりも来年上がることだね。
いま100万円の車が来年には120万円になってしまう。
だったら、今のうちに買っておこう!」

というふうに、消費者の期待を刺激し、
実際に購入が増えれば、

 需要>供給

という図式になり、

ホントにインフレになっていくという手法です。

***

財政政策どころか、”金融政策の反省”(バブル期の)だけで
だいぶ長くなってしまいました…。

to be continued.

 

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