また見つかった、
何が、永遠が、
海と溶け合う太陽が。
アルチュール・ランボー
「永遠」『地獄の一季節』より(訳:小林秀雄)
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ベタですが、やっぱりこの詩はぐっときます。
フランス語がわかればもっと味わい深いんでしょうね。
la mer (女性名詞の”海”)
le soleil.(男性名詞の”太陽”)
の番いということで。
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マーラーのアダージェット(交響曲第5番第4楽章)は
映画『ヴェニスに死す」(美少年への恋!)で使われて有名ですし、
マーラーの妻であるアルマへのラブレターという解釈もあり、
おもに恋愛的にとらえられることが多いのでしょう。
でも。
個人的には、恋愛よりもっと大きな包み込むような愛を感じます。
そして、この曲を聴くたびに、ランボーの「永遠」を思い出すのです。
もし、ソウルメイト(魂のかたわれ)というものが存在するなら。
こんな風に海に溶け込む太陽を見ながら、ふたりでアダージェットを聴いてる
イメージがあります。
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僕が若かりし頃、80年代では、クラシックで「カラヤンが好き!」って
言うと、「お前はクラシックが分かってない!こらっ!」的な?
雰囲気があったことをなつかしく思い出します。
でもやっぱり、カラヤンは偉大だなあ、と確信できたのは、
この「アダージェット」を聴いてからです。極美。
マーラー指揮者としては、バーンスタインとか有名ですが、
バーンスタインのアダージェットは繊細でありつつも、
「楽器が鳴っている」ということを感じさせてしまう
(まあ、それがいいのだ、って見方もあるでしょう)。
対して、カラヤン+ベルリンフィルの演奏は、楽器が奏でているのを
忘れさせてしまう、純粋な波動の音楽って感じです。
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僕が不労所得好きなのは、マーラーのシンフォニーを3人の指揮者で
聴き比べて徹夜してしまう、というおそろしく無駄な時間をゲットできる
からかも、と思うときがあります。
マーラーのシンフォニーは1曲聴くのに、約1時間半かかりますからね。
3回聴けば、5時間近くかかってしまう。笑
本当は、「効率、レバレッジ、株価収益率」なんかより、
「無駄で、ひたすら美しい」
ことが好きです。
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また見付かつた。
何がだ? 永遠。
去(い)つてしまつた海のことさあ
太陽もろとも去(い)つてしまつた。
中原中也の訳も味わい深し。
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