ややふしぎなユダヤ教 – ②ユダヤ民族は神に選ばれたのか?

嘆きの壁

「神がわるいんじゃない。我々ユダヤ人がわるいのだ

ややふしぎなユダヤ教シリーズ2話目です。
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ややふしぎなユダヤ教 – ①「神の名をみだりに唱えてはならない」とは?

今、もしわたしの声に聞き従い
わたしの契約を守るならば
あなたたちはすべての民の間にあって
わたしの宝となる。
世界はすべてわたしのものである。
あなたたちは、私にとって
祭司の王国、聖なる国民となる
(出エジプト記19 : 5-6)

ユダヤの「選民思想」については、わりあいに知られていることではありますね。

神(ヤーヴェ)は、ユダヤ民族と独占契約を結び、その契約を守れば、メシア(救世主)の到来によって、ユダヤ人は救われる。エルサレムが世界の中心になる

と、おおよそこういう思想です。

このユダヤ教的な「メシア」の定義にイエスがそぐわなかった、という判断から、ユダヤ教ではイエスを「キリスト」(「キリスト」はギリシャ語で、ヘブライ語になおすと「メシア」となる)と認めていないわけです。

*参考記事:「メシア」とは何か? – ユダヤ教とイスラム教がイエス・キリストをメシアと認めない理由

この、「唯一神ヤーヴェから選ばれた、いわばエリート民族であるにも関わらず、ダビデ・ソロモンの治世を除いては、いっこうにイスラエルが世界の中心になるという展望が開けない…」「それどころか、バビロン捕囚までされてしまった…」というジレンマから、

皮肉なことに、

これは神(ヤーヴェ)が契約を守っていないのではなく、われわれユダヤ人が契約を守っていないせいなのだ」「神がわるいのではなく、我々ユダヤ人がわるいのだ

という摩訶不思議な方向へ行きます。

これは実に珍しいケースで。

ちょっと考えてみれば分かることですが、

古代において、神様をたてて政治・軍事的闘争を行い、結果、負け続けているのであれば、「この神様は力不足である」ということで、神が見捨てられる方向へ行くのが普通です。

そして、もっと強そうな神様に乗り換えると。

ところが、ユダヤ人は、

負け続けているのは、神がわるいのではなく、われわれが契約の内容(律法の遵守)を履行していないせいだ、われわれユダヤ人がわるかったのだ

と考えたわけですね。

*もっとも、ユダヤ人はけっこう浮気(=他の神を拝む)していますが、まあしかし、これこそが「契約を守っていない」最たるもの、ということでしょう。ヤーヴェは「妬む神」なので、これがいちばん許せないことなんです。

まさに、おどろくべき逆転の論理です。他の世界史では起こり得なかった発想です。

なぜこうなったか?と、いろいろ理由は考えられていますが、ポイントは、「たまに、勝つこともあった」というところがミソで、

さきのダビデ・ソロモンの時代がそうですし、また、紀元前2世紀から約100年ほど反乱戦争(マカバイ戦争)に勝利して、ハスモン朝という王朝が成立していた時期もあります。

下手に(?)たまに勝つので、「ほら、やっぱりヤーヴェは偉大だ」ということになり、アブラハム〜出エジプトの民族の記憶と相まって、

「バビロン捕囚」などの屈辱的事件があっても、なんとか希望を持ち続けることができた。という微妙なバランスです。

さて、

なぜここのところを若干詳しく書いているか?と言いますと、それは、前回の記事で触れているところの「真理スピリチュアル」の誕生に関わってくるから、なんです。

あの記事を読まれた読者の方の多くも、「え!神中心の世界観!?」と、若干でも抵抗感を持たれたかもしれません。

しかしこの、「神中心の世界観」こそが、上述のユダヤ民族の「摩訶不思議な選択」によってはじめて獲得されたわけです。

こういう、発想における「土俵際うっちゃり」があるから、ユダヤ教成立史は面白いのですけどね。

神が民族を選ぶ、とは?

それから、旧約聖書を読んでみると、ダビデ・ソロモンなどの政治指導者だけではなく、優秀な宗教家、つまり預言者を多く輩出しているのも、民族のプライドの一因となっているでしょう。

もっとも、同時代では預言者はけっこう迫害されているのですけどね、ユダヤ人みずからが迫害しています。

こんなふうに、「他の神に目移りするわ、預言者は迫害するわ」で、

旧約聖書は、いわば、「契約を守らないユダヤ人と神の懲らしめの歴史書である」とも言えそうです。

さて、

ここまでのところは、マックス・ウェーバーが『古代ユダヤ教』のなかで洞察している内容です。

問題は、今回タイトルにしたように、「本当に、唯一神ヤーヴェはユダヤ民族を(排他的に)選んだのか?ユダヤ人の選民思想はどの程度、妥当性があるのか?」というところでしょう。

学問だけでは立証できない範囲になりますので、ここに切り込める人はあまりいないと思います。

「神の世界計画」の特徴

じつはここのところは、「神の世界計画」に関わってきます。

神の世界計画については、本質的なところは、「ネオ仏法は、小乗も大乗もはるかに超えてゆく-③実在は「現象する」ことによって本質を開示する」の記事で書いたとおりです。

唯一神(地球のトップ)にとっては、

  • 地球レベルでの智慧と慈悲のエネルギー総量を増やしていく(無常・無我)
  • エネルギー総量を増やす過程そのものに幸福論を見出していく(涅槃)

という目的があります。

そのためには、どうするか?

特定の時代・地域に集中して天使(菩薩)を送り込むという方法が取られます。天使(菩薩)には、「神の世界計画の実行部隊長」の役割があるからです。

また、天使(菩薩)までいかなくても、ある程度、優秀な魂たちも「学び」のために、その特定の時代・地域に生まれてくることになります。

なので、その特定の時代・地域の文明度がグーっと上がっていくわけです。

そして、その「選ばれた国」が一定の使命を終えたな…と判断された時点で、また別の地域に文明の力点が移っていきます。

さまざまな分野に偉大な足跡を残した古代ギリシャが、中世以降、現代にいたるまではサッパリふるいませんよね?これは地上的な観点からだけ考えると、じつに不思議なことです。

現代のギリシャは、古代当時の遺産を使った観光業で知られているくらいでしょう。こういったことは、地政学だけではとうてい説明がつきません。

ちなみに、今ですね、現代においては、「日本が選ばれている」ということを何度か申し上げています。日本に数多くの天使(菩薩)・天使(菩薩)予備軍たちが生まれてきています。

長くもって、パクス・ジャポニカは100年くらいは続くだろうな、と見ております。

そういう事情もありますので、

今この記事を読んでいるあなたも天使(菩薩)候補生であるかもしれない、いや、むしろ、そうなりましょう!

と、私はネオ仏法を更新し続けているのです。

話を戻しまして、

こうした「神の世界計画」に則って、古代イスラエルの一時期にも、天使たちが連綿と生まれていた時代があったということなんですね。

なので、そういう意味では、「イスラエルの民は選ばれていた」とは言えます。限定的な意味では、正解です。

もっとも、「神の世界計画」とか「天使(菩薩)が多数、生まれてくる」というとまた抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、

哲学者ヘーゲルが言うところの、

  • 世界史は、「絶対精神」が弁証法を通して自己の本質である「自由」を顕現させていく過程である
  • 特定の国家に「世界精神」が現れる

この二点ですね、ここのところを、

  • 絶対精神=神
  • 自己の本質である「自由」を顕現させていく過程=世界計画
  • 世界精神=天使(菩薩)が生まれてくる

と言い換えれば、これはまったく同じことを言っているわけです。

ちなみに、ヘーゲルがナポレオンを見送りながら、「世界精神が行く…」と述懐したのは有名な話です。

*ヘーゲルの弁証法については、参考記事:ヘーゲルの弁証法を中学生にもわかるように説明したい

文明の力点(地域・場所)は時代によって移っていく

上の考察に従えば、「ある一時期にある国が選ばれることはあっても、それがずっと続くわけでない。文明の力点は次第に、また別の地域・国へ移動していく」ということが言えます。

なので、ユダヤ民族にしても、ある特定の時代にダビデやソロモンなどの偉大な為政者、あるいは優秀な預言者が現れていたとしても、それがずっと永遠に続くわけではないのです。

地上的な観点だけでは、「いまこの時代に、我が国は覇権国家としての使命があるのだ」という矜持(きんじ)は、容易に右翼的なものに流れていくのはおわかりだと思います。

しかし、上述の通り、「神の世界計画の一環として、それぞれの時代に、文明の頂点を作るためにある国や民族が選ばれることがある」という観点では、

  • 今、選ばれていてもずっと選ばれるわけではない。順繰りに覇権は移動していくものだ
  • そもそも、「選ばれている」というのは、単なるエリート意識ではなく、自国を繁栄させることによって他国にも余徳を与える、という自利利他の精神を期待されているのだ

ということになり、偏狭な民族主義・国家主義というのは発生する余地がなくなるわけです。ここが大事なところですね。

*お断り
このシリーズでは、議論の流れを分かりやすくするために、「ユダヤ人」「ユダヤ民族」「イスラエルの民」など、各タームを厳格に区別しないで使用しています。

続き→→→ややふしぎなユダヤ教 – ③預言と予言のメカニズム

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