「般若心経」の悟りを超えて – ⑧ 色不異空 空不異色

「空である!」というぶった切り

前回の続きで、今回はシリーズ8回目です。
*シリーズ初回からお読みになりたい方はこちらから→「般若心経」の悟りを超えて -①
*『般若心経』全文はこちらから→祈り/読誦

色不異空 空不異色

読み:しきふいくう くうふいしき

現代語訳:物体は空(くう)なるものに異ならず、空なるものは物体に異ならず

現代語訳が、「空なるものに」では、まったく翻訳してないじゃないか…となりそうですが、空(くう)の内実については、解説で補ってみてください。

”色(しき)”は仏教用語で使うときは、”物質、物体、肉体”を意味しています。

それを、「空に異ならず」とぶった切っているわけですね。まずは、この勢いを重視して読誦してみてください。

さて、では、”空”とはいったい何であるか?ということが問題になります。”空”の理解は、般若心経に限らず、般若経ひいては大乗仏教全般の理解に関わってきますので、超重要です。

超重要なわりには、仏教の解説書・般若心経の解説書を読んでも、いまいちピンときません。

とりあえず、

空は”無我”に近い概念として伝統的に理解されています

”無我”は、「各々の存在はそれ自体では存在できない。ゆえに、実体ではない」という思想です。

ネオ仏法でもまずはこの考え方を採ります。

ゆえに、現代の直訳としては、「物質は実体ではないものに異ならない……」ということになり、まあここまでの解説で意味は分かるでしょうけど、訳としてはどういじってもこなれない感じがしますよね。

なので、読誦するときは、「実体ではない!」という念を込めて、「色不異空!」という感覚で読誦すると良いです。

私たちの苦しみのたいがいは、肉体的な自我意識に基づく執着にあります。

なので、執着の元のもとである肉体(物体)のところを「実体ではない!」とぶった切ることによって、執着を絶ち、真理への勢いをつけていくわけです。

ネオ仏法式”空”理解

上述したように、”空”が”無我”とほとんど同じに理解していくのが伝統的な仏教教学の体系です。

しかし、ハイデガーが「存在とは時間のことである」と喝破したように(とりあえずこの真偽はさておき)、存在というものの時間的側面を無視するわけには生きません。

”無我”は、「おのおのの存在は、他の存在と相依って(あいよって)、在るように見えている現象に過ぎない」ということなので、これはどちらかというと、空間論あるいは存在論的な分析の仕方ですよね。

仏教にはもうひとつ、時間論的なモノの見方がありました。そう、”無常”です。

”無常”は、「すべての存在は変転・変化のなかにある」という法則です。

ある現象が”縁”を介して、どんどん変化していく、いわば時間的ダイナミズムです。時間論ですね。

まあやはり、「存在は時間である」と言っても良いですし、逆に「時間は存在である」というふうに論を展開していくことも可能なんです。

つまり、存在と時間というものは別のものではなく、ある現象を存在(空間)的断面から観察するか、それとも時間的断面から観察するか、その観る角度による違い、とでも言いましょうか。ハッキリと分けることはできないものです。

なので、”空理解”においても、ネオ仏法では、

 空=無常+無我

というふうに時間と存在の両面から理解していきます。

そのほうが、「空である!」という”ぶった切り効果”も高いですよね?

「物質は、つねに変転変化のうちにあるではないか、なにを執着することがあろう!」というふうに、無常すなわち時間論的にも、ぶったぎり効果が効いてきますのでね。

この理解の段階で、伝統的な般若心経解説よりも一歩先に出ています。

また、今後の解説でさらに、二歩、三歩と超えて、最終的には解説を超えるだけではなく、般若心経の悟りそのものも乗り越えていくつもりです。

なので、シリーズのタイトルを「般若心経の悟りを超えて」にしているわけです。

続き→→「般若心経」の悟りを超えて – ⑨色即是空 空即是色

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